偽りの翼Ⅰ
裕翔がそう言ったのは
待ち続けてから2時間ほど経った頃だった。
「おう、お帰り。」
隆史さんが帰って来ると心臓がドキドキし始める。
認められなかったらどうしよう、とか
無視されたらやだなとか。
「ただいま。」
顔を表したのは少し肌の黒い背の高い人。
「あれ、この子…。」
隆史さんは
「コイツが影を舞う蝶だ。」
「あぁ。」
彼は見た瞬間に私のことがわかったようだ。
「とりあえず花恋、自己紹介してくれ」
「如月花恋です。裕翔と同じ高校に通ってます。」
「同じ、高校…。それで昨日裕翔はあんな反応だったわけか。」
納得したような隆史さん。
「ああ。で、ここからが本題なんだけど…コイツを月姫にしようと思ってる。」