偽りの翼Ⅰ
「月姫に…?」
突然のことに頭がついていかないようで、
隆史さんは眉をひそめる。
「ああ。」
「………いいんじゃないか?」
その言葉を聞いた瞬間私は一気に体の力が抜けた。
「ありがとうございますっ」
今日何度目かわからないこの言葉。
こんなに訳のわからない女を、
姫にしてくれるなんて、
変わった人たち。
「で、あとは…」
あれ?まだあったの!?
「花恋、月影の姫に、月姫になってくれるか…?」
そっか。
私はもう、月姫になるつもりでいた。
…もう一度信じてみよう。
「はいっ!」
月影という、世界クラスの族に惹かれた私。
今日、月姫になりました。