偽りの翼Ⅰ
「すごいね、千尋くんは。私なんて料理全く出来ないんだよ!…自慢じゃないけどね。」
玉子焼きもまともに作れない私。
「ははっ!大丈夫だよ、練習すれば、上達するんだから。」
千尋くんはそう呑気に言うけれど。
きっと私が料理をすれば彼も分かるんだろう。
「そんじゃあさ、花恋ちゃんが朝ごはん食べ終わったらご飯、作ってみようか!」
この先キッチンが悲惨な光景になるなんて千尋くんは、想像すらしていないだろう。
「…じゃあ、お言葉に甘えて。」
私はそう言うと
「いただきます」
と、手をあわせご飯に手を伸ばした。
「美味しいっ!」
「あは、そう言ってもらえると嬉しいよ」