偽りの翼Ⅰ
そんなとき。
「ふわーぁ、はよ。」
大きなあくびをしながら優真が降りてきた。
「優真、おはよう。」
千尋くんがそう言うので、わたしも
「おはよう!」
と声をかけると
優真は一瞬誰だかわからない表情をうかべて思い出したようにおはよう、と言った。
ほらね…。まだこんな状態。誰だかもよく分かられていない状況でまずいご飯食べさせられたら嫌だよね?
「あ、優真飯食う?」
「ああ。」
すると、千尋くんはニヤリと笑みをうかべながら
機嫌良さそうに
「今よそう〜」
と、ごはんをよそいはじめた。
そして私は見てしまったのだ。
千尋くんが、今作ったお味噌汁をおわんに入れているところを……!
「え、ちょ!千尋くん!」