偽りの翼Ⅰ
「なんだ、お前も行くか?」
裕翔が、そう言った。
「んーん。大丈夫。私もこれから用事があるんだ。」
「ふーん、友達いないのにね。用事あるんだ(笑)」
ウザい…この上なくウザいぞ?
「うん、まあ。じゃあ、またね!」
軽く受け流し、
帰ろうと思ったら引き止められた。
「おー、あっそーだ。ちょっと待て。」
???
「お前、携帯持ってるか?アドレス交換しよーぜ?友達だしな!」
「うんっ!!」
嬉しいな…あの事件以来携帯は初期化したから、一人目の登録者だ。
「よし!完了!いつでもメールしてこいよ!あと、俺大体ここにいっからいつでも来いよー、話し相手になってやる。」
「うんっ、裕翔ありがとー!」
泣きそうになるのをこらえながらお礼を言った。
「じゃあ、またな!」
「うん!ばいばいっ!」
そして私は空き教室をあとにした。
裕翔との出会いが、私の運命を大きく変えるなんてこの時の私は思っても見なかった――――――