偽りの翼Ⅰ 



ブゥゥン



それからしばらくして聞こえたのは、バイクの音。



「何か、音がするよ花恋っ」



雅が肩を震わせながら言う。



「敵、かな…?」


ヴゥゥゥゥンヴゥゥゥゥン



音が近くなってきた



「そうだったら、どうしようね」



「私、このまま死ぬのは嫌だなあ」



雅はそう言う。



どこか諦めたような、そんな表情で。



ヴゥゥゥゥンヴォォン



「この音…」



聞いたことがある?



止まる時のあの音は…



「ねえ、雅。敵じゃない。…助けに来てくれたよ」



「え?」



この音は、確か。



初めて月影の倉庫に行った時に聞いた音。





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