偽りの翼Ⅰ 




「脳、腫瘍ですか?」




「ああ。まだ最初のほうの段階だよ、良かったね、早期発見できて。」




病み上がりの私の耳にとんでもない言葉が入ってきた




私はビョウキになっていたみたいだ




知らぬ間に。



「脳腫瘍、ってどんな病気ですか?」



「具体的な要因は解明されてなくてね。でも、まあ花恋ちゃんの場合まだ症状が出てないようだから経過を見ることになるかな」




「は、はあ…」



知らない間にビョウキになっているなんて…



「あまり深くは考えないで。これから慢性的な頭痛がするかもしれない。そしたらまたここに来て。



それで……突然なんだけど2ヵ月後にはもう一度入院してほしい」



「入院、ですか…」



「進行次第だけどね。あと、今日は検査入院で退院は明日だから。」



こっちはそれどころじゃない。



なんでこの人はこんなに冷静なんだろう。




まあ、私も結構冷静だけれど。



でもきっとそれは病み上がりでまだ頭がボーッとしてるからで。



< 205 / 282 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop