偽りの翼Ⅰ
じゃあ、お大事にね
そう言うと医師は次の患者の元へ向かった。
そして、私も立ち上がり自分の病室へと向かった。
「おー花恋どうだった?遅かったなぁ、異常なしか?」
裕翔はそう笑顔で訊いてきた。
「大丈夫、だったよ?看護師さんと趣味が同じでさ。長話しちゃった!」
脳腫瘍だったよ、なんて言えなかった。
心配なんてかけられないし。
「そうか、退院はいつだ?」
「明日だよ!」
今日は安静にしてなくてはいけない。
「そうか。じゃあ明日は倉庫でパーティーだな!」
え?なんでそうなったかわからないんだけど…………?
「うん!」
でもなんだか楽しそうだから返事をした
「じゃあ、俺帰るわ。じゃなっ」
「ばいばい!」
「明日、迎えに来るからー」
「…ありがと!」