偽りの翼Ⅰ 



ふふっ、と女は笑い私の方を見た。


「こいつはね、桜風の元姫なの。現姫をいじめて桜風から追い出されたのよ。」


違う、違うのに…


「だからなんだよ?」



えっ…?



「お前らも花恋に同じことしてんじゃねーか!こいつが桜風の現姫をいじめたとして、お前らだって花恋のこといじめてんじゃねーかよ!」



裕翔……。



「っ…。」


「なんだよ、黙り込んでんじゃねーよ!」


「裕翔…、それくらいにして…」


裕翔…、ありがとう…。


「花恋、行くぞ。」


「う、うん…」


「裕翔、ありがとう…」
 

「ん。空き教室行くか。」


「うん。」



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