偽りの翼Ⅰ
「はあっ、はあっ、はあ…」
また、あの夢を見た。
あの時の光景は忘れたくても忘れられない。
「思い出したくないのにな…」
ボソッと呟いた。
ふと、時計に目をやると。
私の顔から一気に血の気がひいた。
「えっ!?もう7時50分!?やばいー!!遅刻決定ー!!!!」
そう言うと、私は制服に着替えてすぐに家を飛び出した。
私、如月花恋(キサラギカレン)は、暴走族桜風(オウカ)
の元姫だ。
だから…、
「おう、桜風の姫じゃねーか。」
こんなことはしょっちゅうだった。
もう、姫じゃないのに。
元姫だっつーの。
思い出したくもない。
「人違いです。」
私、急いでるんで。と言いその場を去った。