偽りの翼Ⅰ 

退学なんて…。


「はーい、ストップー」


気づけば俺は仲裁に入っていた。


「はい、没収。」


そう言って、俺は女から写真を取りあげ、ビリビリに破いて捨ててやった。


こうすれば、花恋が退学になる心配は無えだろ?


「だっ、誰よあんた!!この女の味方するなんてどうかしてんじゃないの!?」


証拠がなくなったからか、女はいきなりヒステリックに叫んだ。



「こいつはね、桜風の元姫なの。現姫をいじめて追い出されたのよ。」



そして俺は次に放たれたこの言葉に一瞬固まった。


桜風の、元姫だと…?


桜風は月影と敵対している族だ。


でも、今はそんなこと考えてる場合じゃない。



「だからなんだよ?」


いじめたから、追い出された?


それが最低な奴、?


だったらお前らも最低な奴じゃねーか!



「お前らも花恋に同じことしてんじゃねーか!こいつが桜風の現姫をいじめたとして、お前らだって花恋のこといじめてんじゃねーか!!」


少しカッとなって言い過ぎただろうか…?


でも、俺の言ったことは間違ってねぇよな?

< 44 / 282 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop