偽りの翼Ⅰ
退学なんて…。
「はーい、ストップー」
気づけば俺は仲裁に入っていた。
「はい、没収。」
そう言って、俺は女から写真を取りあげ、ビリビリに破いて捨ててやった。
こうすれば、花恋が退学になる心配は無えだろ?
「だっ、誰よあんた!!この女の味方するなんてどうかしてんじゃないの!?」
証拠がなくなったからか、女はいきなりヒステリックに叫んだ。
「こいつはね、桜風の元姫なの。現姫をいじめて追い出されたのよ。」
そして俺は次に放たれたこの言葉に一瞬固まった。
桜風の、元姫だと…?
桜風は月影と敵対している族だ。
でも、今はそんなこと考えてる場合じゃない。
「だからなんだよ?」
いじめたから、追い出された?
それが最低な奴、?
だったらお前らも最低な奴じゃねーか!
「お前らも花恋に同じことしてんじゃねーか!こいつが桜風の現姫をいじめたとして、お前らだって花恋のこといじめてんじゃねーか!!」
少しカッとなって言い過ぎただろうか…?
でも、俺の言ったことは間違ってねぇよな?