偽りの翼Ⅰ 

それからの俺は由美香を気にするようにした。


今まであまり由美香のことは気にしていなかったから。


由美香が倉庫についた時は絶対に顔を見るようにした。話も聞くようにした。


前とは逆に。花恋よりも由美香、になっていたと思う。



毎日花恋に何をやられたとか、こういう悪口を言われたとか。


由美香は俺に話した。


花恋がそんなことを言うなんて信じられた

訳ではないけど、毎日あざをつけて帰って

る由美香を見たらとてもそんな状態じゃな

かった。

俺は曲がったことが嫌いだ。

だからそんな陰湿なことをする花恋のことを軽蔑するようになった。


そして、あの日。


花恋を呼び出した。


幹部の奴らも呼んで。


花恋が来る前に幹部のやつには花恋がしてきたことを言った。


花恋が来ると俺らは一斉に花恋を責め立てた。


そして、花恋を追い出すという形でこの問題は解決した。


俺が印象に残ったのは、


俺らに責められた時のあの顔。


悲しそうな、すべてを諦めたような。


そんな顔。


< 76 / 282 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop