偽りの翼Ⅰ 


あいつがそんな顔をするのはおかしいはずなのに。


やっぱり俺は間違っていたのだろうか。




花恋が桜風を抜けたことは瞬く間に広がっていった。


花恋は悪口を言われるようになった。


陰口しか言えない女たちに。


曲がったことは嫌いだが、当然の報いだろうと思っていた。


あいつは由美香にひどいことをしたから。


たまに花恋が桜風を見ているときがあった。


何見てんだよ、と一度言ったことがあった。


あいつは瞳に哀しみを宿していた。


口喧嘩になり、あいつが最後に言った言葉は、


私に関わらないで、あんたたちが私を追い出したんでしょ?


という言葉だった。


そして花恋は、あたしは由美香に何もしてない、せいぜいその女の嘘に踊らされてなよ、と言ったんだ。


由美香は、嘘をついていたのか…?


でも、あのあざは?違う人にやられてたらわざわざ花恋の名前を使う必要はない。


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