偽りの翼Ⅰ
「あんたはまだ若いんだから、それに…父親のいない子供なんて可哀想でしょ、って言われて。」
「堕ろしなさいって言われた。」
「それで…。もうほんとに記憶がないんだけど…。」
「私、中絶したの。」
雅は、涙を流していた。
「私、赤ちゃん殺しちゃったの。」
「目が覚めたらね、病院のベッドの上だった。」
「もうお腹の中に赤ちゃんいなくて。絶望感に包まれた。」
「何度も何度も死のうとしたの。でもね、出来なかった。」
「あの男は、私を見て人殺しって責めてきた。」
「理由は私に振られたのが気にくわなかったんだってさー さっき言われたの」
「でも、花恋が助けてくれたからなんの問題もなかったよ。ほんと、ありがとうね。」