偽りの翼Ⅰ
「えー!なんか、私の見てた花恋って作られた花恋だったんだね?」
少し悲しそうな目で私を見る雅。
「それは違うよ、雅。雅に心を許してるから見せられたんだよ。」
心を許せるから。
青いカラコンも、ウィッグも。
路地裏に来るときには絶対につけていた。
これらをつけているときは、
普段とは違う、
如月花恋じゃなくて、影を舞う蝶として
いられたから。
「かれんーっ大好きっ」
……私も、雅のことが大好きだよ。
「そろそろ、帰ろっか。」
「そうだね。帰ろう。」
私はこの時全部外していることも忘れて
帰路についた。
だから、月影に見られているなんて
思いもしなかった―――――