手の甲を切ってしまった日
「高田ちょっといいか」
私は体育祭準備で夏休みまっただ中実行委員の仕事をしてる時、会長のクラスの担任につかまった。
「……はい」
(どうせ、会長の事だろうな)
会長は頭もいいし、運動もできる。
後輩には慕われてる。
でも、楽しかったら後の事は考え無いタイプだ。
授業態度が悪くて担任によく怒られてるのは何度も見てるし、生徒会室で盛大に愚痴ってるから知らないはずも無い。
空き教室にある椅子に座った。
「会長は最近どうだ」
「……いつも通りだけど」
そう言うと曇っていた顔が更に曇った。
あぁ、これもしかして私にとばっちりがくるパターンか。
「今後の生徒会はお前にかかってるんだ」
でた。
この先生はいつもこう言う。
他にも生徒会役員はたくさんいるのに。
私にだけ言う。
「……言われた通りいつも褒めてる」
そう。
言われた通りその頃私は何かと会長を褒めていた。
この頃は会長とは適度な仲だった。
愚痴を聞いたり、会長の野球の話に相槌うったり。
『お前にしか出来無いだろ』
私はこの先生のこの言葉が嫌いだった。