手の甲を切ってしまった日
「たかみっちゃん聞いてよ!」
先生の話が終わり生徒会室に戻ると会長と夏と菜々それとキャプテン。
キャプテンは野球部の部長だからか愛称はキャプテンだ。
会長とキャプテンは相思相愛だ。
そして、たかみっちゃんとは高田美姫私の愛称。
「このバット振り方誰だと思う」
また来た。
この間私が甲子園で見た空閑さんカッコイイって言ってからこの無茶振りが始まった。
私、プロ野球なんてハニカミプリンスしか知らない。
てか、顔知らないし。
バットの先を回しているのは打つ前のルーティンか何かか。
「そんなのわかるわけ無いじゃん〜。うちらが楽器吹くまねしても、何吹いてるかわからないでしょ」
「うんうん」
夏と菜々は吹部。
二人から見ても会長の行動はハチャメチャなんだろうな。
楽しそうだからいいけど。
「だからいつも言ってるでしょ。プロ野球は知らないんだってば」
私、ちゃんと愛想笑い出来てるかな。
自分らしさ何て今のここには無い。
うまくこの生徒会をまわさいないと。
去年の生徒会と比べられてしまう。
私達は最初からレッテルを貼られているのだ。
『今の生徒会を越そうと思うな。キープしろ』
「いやいや、この振り方は野甫選手だから」
私は思いっきり口角を上げる。
今思ってることを顔に出してはいけない。
会長は何も考えてなんていないんだから。
「そっか。物知りだね会長」
時計を見ながら私は仕事の進みを軽く確認してから。
「会長、自分の仕事はしてね」