君色ボイス
和沙が俺らに何も告げずに姿を消してから6年が経った。大学も卒業し、無事に社会人として生活を始めた…と言っても声優としてずっとやってきたから、あんまり変わらないけどな。

「誠司!!おつかれ。今日も仕事だったんだろ?」

「ああ。」

「もう、俺のこともかまってくれよ。こう見えて、けっこう誠司のファンなんだぜ。」

俺をねぎらってくれたのは琉麻、絡んできたのは輝。そして梓ちゃんと瑠璃子ちゃんもいる。あれから毎月、こうやって皆で集まって近状報告や思い出話をしている。

「誠司、今回のアニメ、面白いな。昔やってたやつのリメイクだっけ?」

声優であるとバラしたときから輝はアニメにハマった。そして今、輝が言った作品は、

「俺はよく分かんないけど『マックスビート』ってなんかカッコイイな。すっげぇ強そう。」

「琉麻、違う。これ、青春モノなんだよ。」

「そうなのか!?」

『マックスビート』。そう琉麻が言った途端、梓ちゃんと瑠璃子ちゃんは懐かしそうな顔をした。多分、和沙から聞いてたんだろう。

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