光を求めて




そういうこと・・・。




心にぽっかり穴が空いたような感覚だった。




とにかく逃げなきゃと思い、家の後ろの扉から気付かれないように飛び出した。




振り返らず走る。




涙が止まらなかった。



もう枯れたと思ったのに。



どうして溢れてくるんだろう。



どうして・・・・。



きっと一緒に過ごした日々が楽しかったから。



嘘でもご飯を用意してくれた。



寝る場所を用意してくれた。



それが嬉しかったから。



だから涙が溢れてくるんだ。



信じるんじゃなかった。




そうだよ、信じちゃダメなんだ。



私はここの世界の人じゃない。



味方なんていないんだ。



信じたらまた怖い思いをするだけ。



裏切られるだけ。




だったら、もう信じない。



そもそもこんな格好してるんだ、誰でも奴隷だってわかるよね。



ボロボロの服、鎖が千切れた手枷、足枷。


体中の傷。



気付かない方がおかしい。



私って本当にバカだ・・・。





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