光を求めて



「ここに来たのはある目的を果たすためであります」



「目的・・・?」




「ええ。奴隷として日本人を誘拐するグループがこの国の奴らだと判明して調査をしに来たのです」



「・・・・」



言葉がでなかった。




「あなたの名前を聞いてもよろしいですか?」



「あ・・・・。橋本 千鶴(はしもと ちづる)です」



「千鶴さんですね。
千鶴さん、こんなことを聞くのは大変非常識だと思っております。
ですが、教えていただきたいのです」



「はい・・・」



なにを聞きたいのかは分かる。




「あなたは誘拐されていましたか?」



言葉を選んでくれたのだろうか。



「はいっ・・・」



「そうですか。それだけで十分です。
教えていただきありがとうございます」



「いえいえ・・・」



「それと両手両足にあった邪魔なものは外しておきましたので」



「あ、ありがとうございます。
でも、どうやって・・・?」



「あの鍵は非常に簡単な構造でしたので簡単に外すことができました」



ニコッと微笑む上川さん。



あ、そっか。


ヤクザの人ならそういうこともできちゃうんだ。



「さ、食べましょうか。
もうすぐで陽雅さんも帰ってくると思いますし」




「そうですね」



特に気にすることなく料理を口に再び運ぶ。



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