光を求めて
「何があったかは聞かないから、帰ってきてくれて、無事でいてくれて本当によかった。
千鶴・・・・。千鶴・・っ」
お母さんがこんなにも泣いているのを初めて見た。
そんなにも心配かけたと思うと申し訳なくなる。
隙間がなくなるくらいお母さんとお父さんに抱き着いた。
「千鶴、家に帰ろうか」
お父さんが体を離しながら私に言う。
「そうね、もう夜だし病院は明日にでも行きましょう」
お母さんも私の目を見てそう言う。
「出口まで案内しますね」
部屋にいた男の人たちが扉を開ける。
「ちょっと待って」
「どうしたの?」
「まだ帰れない」
「どうしてだ?」
「泉さんと上川さんが帰ってきてないから」
そうだ、まだ2人を待ってなきゃいけない。