光を求めて
「橋本さん、車を待たせておりますので・・・」
お兄さんが遠慮がちに話しかけてきた。
「わかりました、行きます」
お父さんが返事をし荷物を全部持ってくれた。
「千鶴、行きましょう」
お母さんに支えられながら部屋を出た。
涙は止まらない。
ずっと流れている。
車に乗ってからも頭の中には泉さんと上川さんの笑顔があった。
帰ってきてよ・・・。
私だけが帰ってきたって仕方ないの・・・。
1人にしないって約束したじゃん!
声が漏れないように唇を噛み締めた。
車に揺られること1時間ちょっと。
久しぶりに家を見た。
「さ、中に入りましょう」
なんら変わりない景色。
私はいつもここで平凡な日々を送っていた。