椎名くんの進級
なんだよ、こんな大野先輩知らないぞ。
まるで普通の女の子みたいじゃないか。

「ごめん。そうだった。忘れてた。ごめん。」
神井先輩が大野先輩を優しく抱き寄せる気配がした。2人はそのまましばらく動かずにいた。

「ごめんな。いつも強引で。怖かった?」
「。。。ちょっと。」
「嫌だった?」
「神井くんが嫌なんじゃないの。でも、こんなところで、それもこんな突然。」
「だったら奥のソファで、ゆっくり、その、優しくするから。続き、しちゃだめ?」
奥のソファって、今、高橋が座ってるけど。。

「。。。。。先に、日誌をつけたり、着替えたり しない?」
「そうだな。でも、そのオーバーオールが、割と好きなんだ。」
「あと手が、作業の後洗ってないから、真っ黒なの。」
「あぁ、それでか。いつもなら、頬っぺたをつねり上げられちゃうのに、あんまり抵抗しないから、そんなに嫌じゃないのかと思って。ごめん。洗っておいで。」
「うん。ありがとう。」

ちゅっと2人が交わる音がして、大野先輩が廊下に出て行った。
< 16 / 23 >

この作品をシェア

pagetop