椎名くんの進級
「でもあの人無防備だから、いつでもできそうなところが大問題だよなぁ。俺も最後に1回やってみようかなぁ。」
藤沢までもが、おかしな事を言いはじめた。
「やる?」
椎名が目を輝かせる。こいつはおそらく本気だ。
「やるなら俺もやるけどさ。」
苦笑しながら賛同すると、
「ええっ。そんなことして大丈夫なの?」
高橋が本気で心配しはじめて、なんだか笑える。

それは、おそらく、ここにいる4人がみんな一度やってみたいと思っていた事で、そして、いつでも出来そうなのだ。だが、

「大丈夫なわけないだろ。それに、そんなことしたのがバレたら、神井先輩に殺されるぞ。マジで。」
「だよなぁ。」
「そんなことしなくても、普通に呼び出して、真面目に話せば、真面目に答えてくれると思うけど?先輩ははぐらかしたり逃げたりしないと思うよ。」

 高橋が話を元に戻した。あくまで正攻法を勧める。それはそれだが、今はそんな真面目な話よりも、椎名をからかいながら妄想を膨らませる方が面白いじゃないか。

「それは、分かってるんだけどさ、なんか、こう、今更な告白じゃなくて、先輩をびっくりっていうか、ドキドキさせたいんだよ。うまく言えないんだけど。」
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