椎名くんの進級
椎名の気持ちは痛い程分かる。今回の場合、大事なのは遊び心と、いかに先輩をびっくりさせるかという点にある。
「あー、わかるわかる。」
「じゃあさ、壁ドンくらいだったら?」
抱きつくのも悪くはないが、さすがにそれは犯罪だ。だが、身体に触れなければ、セーフと言えなくもない。大野先輩のほうからは俺達に気軽に触れたりするんだから。それに、何気ない仕草なら少しのあいだ抱き寄せたって、先輩は大して気にしないだろう。だが、それでは意味が無いのだ。
「壁ドンねぇ。こんな感じか?」
俺は立ち上がって、部屋の入り口に座っていた椎名を立たせて壁ぎわに囲い込んでみた。椎名は先輩と同じくらいの身長だ。俺が先輩に壁ドンしたら、こんな感じの目線になるのか。分かってたけど、かなり近いな。吐息の熱を感じる近さだ。椎名の色白の頬が少し赤く染まった。
「何、赤くなってんだよ。」
椎名の恥ずかしそうな顔を見てたら、俺の心臓もドキドキしはじめた。
「いや、結構ドキドキするなと思って。」
俯いたまま椎名が言う。
「気持ち悪い事言うなよ。」
言いながらさらに顔を近づけて椎名の顔を覗き込んだ。演技か本気か知らんが、椎名は動揺して視線を泳がせる。
「あー、わかるわかる。」
「じゃあさ、壁ドンくらいだったら?」
抱きつくのも悪くはないが、さすがにそれは犯罪だ。だが、身体に触れなければ、セーフと言えなくもない。大野先輩のほうからは俺達に気軽に触れたりするんだから。それに、何気ない仕草なら少しのあいだ抱き寄せたって、先輩は大して気にしないだろう。だが、それでは意味が無いのだ。
「壁ドンねぇ。こんな感じか?」
俺は立ち上がって、部屋の入り口に座っていた椎名を立たせて壁ぎわに囲い込んでみた。椎名は先輩と同じくらいの身長だ。俺が先輩に壁ドンしたら、こんな感じの目線になるのか。分かってたけど、かなり近いな。吐息の熱を感じる近さだ。椎名の色白の頬が少し赤く染まった。
「何、赤くなってんだよ。」
椎名の恥ずかしそうな顔を見てたら、俺の心臓もドキドキしはじめた。
「いや、結構ドキドキするなと思って。」
俯いたまま椎名が言う。
「気持ち悪い事言うなよ。」
言いながらさらに顔を近づけて椎名の顔を覗き込んだ。演技か本気か知らんが、椎名は動揺して視線を泳がせる。