椎名くんの進級
「先輩。俺、ずっと好きでした。」
俺は椎名に向かって告白を演じる。
「おおっ。いいねぇ。」
藤沢が茶化す。本物の女子を相手にこんな事ができたら、カッコいいんだろうけどなぁ。残念ながら俺にはそんな相手も度胸もない。
「やっ、やめろ。気持ち悪い。」
椎名は俺の顔を力任せに押し戻したので、俺は身体を引いて素に戻る。
「おっ、お前が練習してどうするんだよ。告白るのは俺なのに。」
「おう、がんばれ。」
「でも、壁ドンされたときの先輩の気持ちがわかったんじゃない?」
「そ、そうだな。これなら、多分、本気にしてもらえると思う。」
椎名は真剣な表情で頷いている。

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