夏狩り過程
ラムネ瓶とはじけた朝顔
蒸し暑い部屋で、うめきながら目を覚ました。
「……あっつ」
部屋のクーラーはとっくに止まってる。もうお昼だ。
こうやって好きな時間にまで寝こけてられるのが夏休みのいいところでもある。
まあ最近は、そう寝てるわけにもいかないんだけど。
サッとシーブリーズを身体にふりかけて慌てて顔を洗って身仕度を整えて。
深呼吸をひとつ。
「……おはよう、ございます」
やっぱり、いた。
居間に行くと、縁側で我が家のアイドル柴犬の五郎とふたり並んでる背中。
声をかけるとこっちを向いた。
「おはよ、寝ぼすけ」
「いやー、えへへ」
「褒めてないから」
肩ごしに振り返った要の五郎と反対側の隣にはラムネ瓶。要の足は縁側の下に置かれた氷水入りのたらいに浸かってる。
「いま五郎と向日葵みてた」
蝉の声と風鈴の音と要の声と。
夏はにぎやかだな、やっぱり。
「五郎も夏生まれだからねー。好きでしょ五郎も夏ー」
おりこうにお座りして外を眺める五郎の頭を撫でると、迷惑そうに鼻息をならされた。
……うぅん、さすが柴犬。構うなと言いたいんだな。
「ははっ。素直だなー五郎」
「ツンデレなだけだから!五郎は!」