夏狩り過程



あれから、要は本当にちょくちょく遊びに来る。



何をするでもなく家にいて、たまに我が家のおつかいに一緒に行ってくれたり、五郎の散歩をしてくれたり。いいやつ。


それに、来るときにいつも手土産をくれる。


「夏持ってまた来るな」ってそういう意味か。って、私は要に水まんじゅうをもらったときに気付いた。


たしかに夏だ。

水まんじゅうは、夏のもの。

加えて私が好きな食べ物。


……なんで私の好物分かったんだろう。




「……はて」

「見て百、今日のお土産」




要はそう言って、上を指差した。

つられて視線を上げると、吊るされているいつもの青い風鈴。
その横に、貝殻のモビール。



「わあ。何これ、かわいいっ」



立ち上がってそれに触れた。

大きかったり小さかったり、うっすらピンク色の貝殻たちがバランスよく並んで、針金と糸に操られて遊んでる。


きれい。かわいい。



「俺の手作り」

「ええっ!?」



下から届いた言葉に、貝殻に触れていた手をひっこめた。

手作り、だって?



「この前友達と海行ったとき集めた貝殻で作ってみた」

「すごーい、要って器用なんだね」

「人に教えてもらって作ったんだけどね」

「へえぇ……」



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