夏狩り過程
めずらしくまともな時間に起きれた日、お母さんに部屋の片付けを言い渡された。
「あんた一応引っ越したんだから、これを機に押し入れの中のものどうにかしなさい」って。
たしかに、18年間ずっとこの部屋で生活してきたから、それはもう、押し入れにだって18年分の生活用品がつまってる。まちがいない。
発掘された小学校や中学校の頃のなつかしい教科書はまとめて紐でくくった。
マニキュアコレクションは大切に箱の中にしまった。
くちゃくちゃの点数の悪い小テストの用紙はゴミ箱に葬った。
小さくなった服はいとこのちよちゃんにあげるために洗濯かごへ。
なつかしい。私の今までの思い出ぜんぶ、掘り返してるみたい。宝探しみたい。
「あとこの箱だけ?」
押し入れの奥の奥の角にあった、年期の入った段ボール箱。
これを選別すれば今日の仕事はおしまいだ。
部屋のカーペットの真ん中でそれに手をかける。
結構重い。パンパンに中身がつまってる。
「なんだっけ、これ」
開けた瞬間、キラリと反射してコロリこぼれたそれ。
「……アクリルアイス?」