夏狩り過程
どうしようかな、これ。
なんだかもったいない。
風鈴と絵はがきは部屋に飾ろう。金魚鉢にはビー玉とアクリルアイスを入れて玄関に置こう。かんざしとネックレスはまだ使えそうだから大切にしまって、
あと、あ、このシーグラスは
「もーもーちゃん」
「わあっ」
突然背後から聞こえた声。要の声。
振り返ると要は、2階にある私の部屋の窓の外にまでのびる大きな木の上にいた。
太陽は木の葉のすきまから容赦なく照りつけて、要の笑顔をうきぼりにした。
緑がまぶしい。
笑いながら窓を開けてあげると蝉の声が大きくなって熱風がたちこめる。
こんな高いところまで。なんて運動神経だ、要。
そう私が口を開く前に、要は部屋の中を一瞥して気付いたように「急に来てごめん」と言葉を紡いだ。
「いいよー。いらっしゃいませ」
「ごめん、部屋の掃除とかしてたんでしょ」
「そう。昔の物片付けてた」
ほら、と身体をそらして部屋の中を見せると要の目は一点をとらえて止まって、あ、と声を漏らす。
「……百、それ」
「すごいでしょ!夏の宝物!」
これね、すごく大切にしてたんだよ。
だって私の好きなものばかりなんだもん。
だから、宝物。
幼い私の宝箱だよ。
私が言い終わってもなかなか目をそらさない要。
ん?と首を傾げると、はっとしたように私に視線を移した。
そのまま要は少し笑って、
その顔が、誰かと重なった。
「……要ってなんか、夏っぽい」
夏を運んでくる、みたいな。なんだか、そんなかんじ。