夏狩り過程
不意打ちのその声に思わず変な声が出た私は、そんなこと気にする余裕もなく声の方に振り向いた。
ぐりんっ、と。すごい勢いで。
「要だ!すごい、いま要のこと考えてた!」
「っ。……マジで?」
「わー、偶然」
ぱたぱたと寄っていくと、ふいっと一瞬目をそらす要。はて。
「……どこ行ってたの、百」
「図書館だよ。勉強してた」
「へー、えらい」
「でしょ。要はどこに───あっ」
質問しながら、かさりと音をたてた要の手元に目を落として発見した。
握られてたのはビニール袋。
その中に入ってるそれ。カラフルなパッケージの。
「買ってきた。百とやろうと思って」
開けて中身を見せてくれた袋の中には手持ち花火。
“ワイドセット”って書いてあるやつ。
「やろうやろう!早くやろう!」
ぱっと顔を上げて笑うと、要もつられたように笑った。
私この顔、好きだなあ。
さらによく見ると要のジーパンの後ろポケットには朝顔のうちわがささってる。
「……うふ」
「なに百」
「なんでもなーい」
うれしいな、うれしいなあ。