夏狩り過程
私は知らないけど私のことを知ってるらしい要くんは、どうやらうちのお母さんが気まぐれで連れてきたらしい。
なぜ知ってるのか、とか
一体どこの子なのか、とか
聞きたいことはあったけどお母さんの勢いに負けた。すごい勢いで要くんに話しかけてる。もういい西瓜食べたい。
今年初の西瓜は冷たくて甘い。最高。
やっぱり夏って最高。
「要くん百と同い年じゃない。どうなの彼女のほうは」
うちのお母さん恋バナ好きだな。
私にだって、自分で危機感はないけどお母さんは「彼氏彼氏」ってうるさい。
ていうか同世代だとは思ってたけど同い年なんだ。要くん。
そんな要くんもいまいちピンと来てないようで、あいまいな返事をお母さんに返す。
そうだよお母さん、世の中の若者が全員色恋沙汰に興味あるわけじゃないんだからね。まったくもう。
「なんなのアンタたちふたりしてー。じゃあどう? 要くん、うちの百」
「ぶっ。ちょっと黙って聞いててみればお母さん!? その流れおかしくない!?」
「私はね、我が子が心配なの」
「失礼な!」
まさかの真顔だ。これは本当に心配してるに違いない。いいんだってば、私!
口うるさいお母さんに対抗してると、突如はじまった親子論争にきょとんとする要くんが目の端にとまった。あわわ。