夏狩り過程




「夏休みはずっとこっち?」




西瓜半球をふたりですっかり食べ終えたあと、要くんは縁側に出て五郎と遊びだした。


さっき要くんは五郎に西瓜をひとかけらあげてみて、うまく噛めずにペッと吐かれていた。たぶんショックを受けていたと思う。
ごめんねうちの子、不器用で。



「うん。向こうでバイトもないし、ずっとこっちにいるよ」

「んー。そっか」



抵抗しない五郎を抱き上げて、めちゃめちゃに撫でている。

無邪気な笑顔ってこのことだ。


畳と縁側と柴犬と要くんと、庭には向日葵、その向こうには青空と入道雲。


なつかしい。平和って、このこと。


向こうの生活も新しいものがたくさんで楽しいけれど、昔からなじんだこの空気がやっぱり好き。

帰ってきたんだな、私。

って。そんなかんじ。


半袖シャツからのびる要くんの腕はやっぱり夏にしては白かったけど、しっかり男の子のものだった。

チリン、と青風鈴はまた夏風を報せる。



「じゃあ俺、また遊びに来よっかな」

「……へ?」




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