坂道では自転車を降りて
飯塚は一人で盛り上がっている。
「あれ、でも演劇部の先輩と付き合ってるんじゃないの?ほら、カッコいい先輩いるじゃん。」
また、誰かが言った。
「。。。さあ、どうだろう。」
曖昧に答える。
「もしかして、さっきの神井に笑ったのか?」
「えっ?」
「おおーっ」
「演劇部いいなー。」
話題が自分に向いてきた。これはヤバい。
「いや、確かに演劇部だけど、そんなんじゃないでしょ。」
憶測を遮断する。
「俺にも紹介してくれよ。」
と飯塚。
「お前はダメ。」
こんなやつを紹介したら、俺の品性が疑われる。鈴木先輩にも頼まれてる。
「”お前は”ってなんだよぉー。」
「当たり前だろ。それに誰かを紹介できる程、親しくないよ。」
しょぼくれて見せる飯塚を囲んで皆が笑う。
「あーーっ。俺の大野さん。」
「何が”俺の”だ。彼女はダメだ。」
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