坂道では自転車を降りて

「くそっ。」
この噂は大野さんの耳にも入ってるんだろうか。聞いたらどう思うだろう。彼女の時には何もしなかった俺の、こんな噂を聞いたら、良い気はしないよな。なんで、あいつらに話しちゃったんだろう。自己嫌悪で地面にめり込みそうだ。

「お前、この前と話が違わない？」
突然後ろから声をかけられてびっくりした。
「へっ？」
原が俺の後ろにいた。
「この前、一年達に聞かれた時は、自分だって言ってた。」
「。。。。。」
「嘘だったの？」
「違う。けど。」
「つい嘘ついちゃって、噂になって、バレるのが怖くなったとか。」
「嘘はついてない。。。声かけたのも本当だ。」
「だったら、美波に話した話のほうが嘘なの？」
「それも本当なんだ。」
「どっちも本当って、変だろ。」