坂道では自転車を降りて
「原はなんでそんな根掘り葉掘り聞くんだよ。ほっとけよ。」
「そう邪険にするなよ。お前の本への教師からの苦情、俺がみんなうまく処理してやってんの分かってる?」
そういえば、笠原先輩の時に比べて、全然呼び出されない。脚本が変わったからじゃなかったんだ。

「お前の今回の本も、俺はすごいと思うよ。お前はやる気あるし、逃げないし。今回の本ならコンクールだって、きっと上が狙えると思ってる。余計な噂なんかで振り回されたら、俺の苦労が水の泡じゃん。だから、そっちもちょっと手伝ってやろうかと思って。」
「。。。。」

「まず、俺だったら、一年の女の子の話は一旦はスルーする。本当にそうでも、正直に話したりしない。相手の意図も分からない間に噂にのるなんてありえない。」
確かにその通りだ。ぐうの音も出ない。
「それに美波の前であんな感情的にもならない。その子に気があるって言ってるようなもんだし。」
「別に、気なんてない。」
「ムキになって否定したりもしない。」
「。。。。」
< 130 / 874 >

この作品をシェア

pagetop