坂道では自転車を降りて
「何日か後に、たまたま、同じ男が別の女の子の後ろに立つのを見たんだ。」
「で、今度は声をかけたんだ。」
「うん。」
「最初の彼女は知り合いというか、ウチの学校の子なんだ。」
「うん。」
「それで、噂が立つのが嫌な訳ね。」
「うん。なんとかならないかな。」
原は納得がいったようで、ふむふむと頷き、考えるように視線を落とした。
「うーん。もうたっちゃってる噂は、どうしようもない。まあ否定しまくって、早く沈静化するのを祈るだけだな。まずはこの前の2人だな。俺がなんとかしとこう。」
「本当にできるのか?」
「いや、もう遅いからな。これ以上広がらないようには出来るかもしれないけど。美波まで知ってるんだろ?既に耳に入ってる可能性が高いよな。」
「思い切って話したのに、あんまり、頼りにならないじゃん。」
「悪かったな。でも、要するにその彼女が傷つかなきゃ良いんだろ?」
「俺が噂されるのも嫌だけどな。」
「そこは自業自得だし、気にするな。耐えろ。お前なら大丈夫だ。」