坂道では自転車を降りて
球技大会にて
 夏休み前には球技大会がある。クラス対抗ではあるが、運動の得意なやつもそうでないやつも強制的に参加させられるのは、体育の授業の一環なのか?つねづね疑問の行事だ。生徒間の交流やクラスの団結を狙っているのかもしれないが、生徒は淡々と競技をこなし、空き時間には勝手に校外へ出るものまでいて、あまり効果はなさそうだった。単に教師がテストの採点をして成績をつける時間、生徒には球技大会でもやらせとけって話なんだろうな。

 俺は、運動は不得意ではないが、得意でもない。高校に入ってからは演劇部が忙しいので、運動部に所属しているやつらの運動量にはかないっこない。適当に余っている競技に登録させられる。今回はバスケットボールだった。バスケットボールなど授業以外ではやったことがない。少しは練習しておこうと早めに体育館へ向かうと、体育館は女子バレーボールの3位決定戦の途中だった。

 2年6組のチームの中に彼女がいた。サーブをしているところだった。彼女のサーブはフラフラと飛び、運良く誰もいないコートの隅にぽとりと落ちた。すごい歓声がわき上がる。再び彼女のサーブ。相手のコートをじっと見つめると、ゆっくりとサーブをうつ。ボールはフラフラと飛び、今度はコートの真ん中にぽとりと落ちた。お見合いしたらしい。また歓声があがる。もう一度彼女のサーブ。今度のサーブは、前衛選手の顔面にぶつかり、床に落ちた。どよめきが広がる。何が起こっているんだ?次のサーブがまた前衛と後衛の間にぽとりと落ちた。
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