坂道では自転車を降りて
夕飯を食べて、海岸で花火をした後、宿まで遠回りをして、海辺を散歩した。最初はみんな一緒に歩いていたが、次第にばらけて、いつの間にか美波と二人になっていた。
「今度の脚本の主人公、神井くんみたいよね。迷いながらもひたむきで。」
「そうかな。」
「あの少女も素敵。誰かモデルがいるの?」
「。。あれは。。。子供だ。男の子。」
「だったら、あれも子供の頃の神井くん?」
「さあね。」
彼女には分からないらしい。俺は試してみた。
「。。。。。羊の絵を描いて。」
「は?」
「ねぇ、羊の絵を描いてくれない?」
俺はしゃがみ込んで言ってみた。
「え、ここに?なんで?」
彼女は足下の砂を見て、戸惑っている。
「いや。。。。。。。なんでもない。」
そうだよな。突然言われたって、分かるわけないよな。
「変なの。」
「あそこに星があるんだ。」
「星かぁ。私、今日はコンタクトしてないからよく見えなくて。残念だな。神井くんは目がいいの?」
「いや、俺にも見えない。」
「?どういう意味?星座の話?」
「なんでもないよ。」
美波は会話を諦めて俺の隣に立って、海に寄せる波を見ていた。
「大切なものは目に見えないんだ。」
俺は独りつぶやいて、夜空を眺めた。月が明るくて、星はほとんど見えなかったが、目に見えなくても、星はそこにあるんだ。
「今度の脚本の主人公、神井くんみたいよね。迷いながらもひたむきで。」
「そうかな。」
「あの少女も素敵。誰かモデルがいるの?」
「。。あれは。。。子供だ。男の子。」
「だったら、あれも子供の頃の神井くん?」
「さあね。」
彼女には分からないらしい。俺は試してみた。
「。。。。。羊の絵を描いて。」
「は?」
「ねぇ、羊の絵を描いてくれない?」
俺はしゃがみ込んで言ってみた。
「え、ここに?なんで?」
彼女は足下の砂を見て、戸惑っている。
「いや。。。。。。。なんでもない。」
そうだよな。突然言われたって、分かるわけないよな。
「変なの。」
「あそこに星があるんだ。」
「星かぁ。私、今日はコンタクトしてないからよく見えなくて。残念だな。神井くんは目がいいの?」
「いや、俺にも見えない。」
「?どういう意味?星座の話?」
「なんでもないよ。」
美波は会話を諦めて俺の隣に立って、海に寄せる波を見ていた。
「大切なものは目に見えないんだ。」
俺は独りつぶやいて、夜空を眺めた。月が明るくて、星はほとんど見えなかったが、目に見えなくても、星はそこにあるんだ。