坂道では自転車を降りて
彼女は急に真剣な表情になって、俺の腕を掴んだ。
「本当だ。神井くんの腕、太い。やっぱり男子はみんなそうなの?」
「そうだな。俺は多分太い方だけど。」
中学ではバトミントンをしていたから。
「ふーん。これなら壁も持ち上がるよなぁ。」
彼女は悔しそうに言った。

5時間目の予鈴が鳴った。2人で部室まで早足で戻り、荷物を片付ける。
「脚本、あまり進んでないの?」
「。。。。イマイチ、なんで?」
「毎日来てるから。。根つめすぎないほうが良いんじゃない。」
こちらを見る顔はちょっと心配そうだった。
「。。。」
「今日は邪魔しちゃってごめん。」
「いいよ。」楽しかったから。
うっかり言いそうになり、慌てて口をつぐむ。彼女はほっとしたように笑顔を見せた。
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