坂道では自転車を降りて
 次の演目との間に体育館を抜け出すと、体育館脇の空きスペースで、鈴木先輩のクラスが記念写真を撮っていた。多分、これが高校最後の楽しい思い出になるんだろうな。あとはひたすら受験勉強なのだから。来年の自分を思う。清水先輩が何かに気付いて手を振って、鈴木先輩のあたまをはたいた。鈴木先輩も気付いてそちらに手を振った。先輩達の視線の先には大野多恵と川村がいた。並んで屈託なく笑っている。もう何日も俺は彼女のあんな顔を見ていないのに。そう考えてしまったことが悔しくて、その場を離れた。

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