坂道では自転車を降りて
「お前、そういうのよくあるの?」
そういえば、1年の時にも誰か女の子と付き合ってたな。
「いや。そんなにはないけど、初めてじゃない。」
「そうなんだ。。俺 女の子と出かけたことないんだけど。」
「勉強や部活を真面目にやるだけが、人生じゃないぜ。適当に遊べよ。」
「人生は大げさだろ。俺だって十分過ぎるくらい遊んでるぞ。」

「おまえは遊ぶ時も真剣に遊んじゃうだろ?適当にやれってこと。」
「適当に遊ぶ。か。」
適当に遊んで面白いのか?
「女の子ともね。」
興味がなくても遊んでみろってことか。

(いまは単に興味がないっていうか。)
 部室での美波との会話を思い出す。彼女に興味はわかなかった。東さんの事はまだ何も知らない。思い出そうとしても顔もよく思い出せない。こんなんでも会えば何かが変わるんだろうか。

俺が気のない顔をしていると、原が言った。
「大野さんと何かあったの?」
「何もない。と思うんだけど。」
「恋愛禁止条例なんか布くつもりはないんだけど。大野さんはやめておけよ。」
「。。。。べつにそんなんじゃないよ。俺は何もしてないし、別になんとも思ってないよ。」
言った瞬間、チクリと胸が痛む。

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