坂道では自転車を降りて
「どうぞ。もう食べ終わるし。」
俺は弁当を片付けると荷物を持って、図書室へ向かった。図書室も静かで悪くないな。部室は何かと人が来る。余裕があるときは適度な雑音がいい感じだったが、今は集中したかった。それに、部室の主のように言われるのもちょっと不愉快だった。しばらくは図書室にしようかとも思ったが、結局、次の日も俺は部室に向かった。

食べながら書いていると部室のドアが開く音がした。現れたのは美波だった。
「あれ、今日も？」
「ううん。今日は、何もない。暇だから来ただけ。」

　何をするでもなく、備品の脚本を見たりしているので、そのまま弁当を食べながら書き続けた。なんとなく落ち着かない。そこへ、大野多恵がやって来た。

「おはよう。あれ、美波さん。今日も？」
「今日は別に何もないんだけど、暇だから来てみただけ。、大野さんは毎日何してるの？」
「今日は鏡が修理できたから、こっちに出すの。役者の皆様には、長い間、ご不便おかけしました。」
美波に説明したあと、俺に向き直って言った。
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