坂道では自転車を降りて
 我が校は今年も最優秀賞を逃し、上位大会にコマを済める事はできなかった。講評は、脚本は良いが高校演劇にしては長いことに加え、演技が練習不足との評価だった。舞台装置に関しては去年に続き、高校レベルを超えているとの評価を貰った。普通はコメントのない音響に関して、統一感のある音楽を効果的に使っており良かったとコメントがあった。当たり前だ。この舞台の為に作った曲なんだから。

 なんだか悔いの残る結果になってしまったが、やり直しはきかない。俺の2度目にして最後のコンクールが終わった。原も演技が終わった時には、かなり動揺していたが、順位発表の頃にはもう切り替えて、前を向いていた。つくづく頼もしい部長だ。公演後、みんなを集めて言った。

「みんな緊張してたな。俺が緊張してたからかも。気合いが入り過ぎだった。申し訳ない。今回は残念だったけど、仕方ない。切り替えよう。来年はできればもっと楽しんでくれ。以上。次はクリスマス公演だ。」
 俺は、思った程落ち込まなかった。不甲斐ない自分が申し訳なかったが、それは今日に始まった事ではない。
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