坂道では自転車を降りて
 翌日、東さん達とは最初、普通の映画館で普通の映画を見る予定だったのだが、俺と原は演劇からちょっと離れたかった。どうしようかと相談すると、山本さんの提案でボーリングへ行くことになった。

 彼女らはそれなりに経験があるようで、慣れた感じで靴を借りレーンに座った。俺はよく分からないので彼女らの後についていった。ジュースやお菓子を広げてしゃべりながら順番が来たらボールを投げる。東さんは小柄なので、重たいボールを持つとヨロヨロしていて面白かった。

 原も彼女達も慣れているのかおしゃべりもそつなくて、楽しく時間が過ぎた。東さんはぼーっとしている割によくしゃべった。内容はふわふわしていて、微妙に噛み合ない。正直、最初はかなりイライラしたが、話の内容を理解するのを諦めて、観賞に徹する事にしたら、案外、可愛くて面白かった。頭の中は何かしら可愛いものや綺麗なものでいっぱいなんだろう。良くも悪くも女の子だ。抱き締めたらきっと柔らかいんだろうなと思わせる。
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