坂道では自転車を降りて
「大野さん、それって、」
顔が勝手に熱くなってきて、多分赤くなってる。え?本当にそうなのか?でも。。俺は気持ちが昂り、彼女に一歩近づいた。彼女は怯えて後ずさった。俺は焦って言った。
「逃げないで。ね、そっちへ行ってもいい?」
彼女は首を横に振った。流れる髪の間から、涙の雫が胸元に落ちるのが見えた。身体が勝手に彼女を抱きしめようとして、腕を上げてはひっこめる。衝動が抑えられない。
「泣かないで。怖くないから、優しくするから。」
ますます焦って、変な言葉を口走りながら、俺はもう一歩彼女に近づいた。彼女はまた後ずさった。
「大野さんっ」
くるりと向きを変え逃げようとする腕を、素早く捕まえ引き寄せると、強引に腕の中に納めた。むにむにと柔らかくて温かい感触に、自分の理性のタガが外れたのがわかった。なんだか分からないものがむくむく溢れ出て行く。