坂道では自転車を降りて
「なんでお前なんだろうな。」
俺と大野多恵は、また図書室で会うようになった。何をする訳でもなく、並んで本を読んでいるだけなのに、何やら幸せな気持ちになる。時折、彼女が絵を見せてくれる。俺は、スケッチブックにコメントを書き込む。図書室なので筆談だ。まどろっこしいが、記録が残って面白い。イメージを共有できるのも良かった。その日は雑談が過ぎて、図書室では迷惑な感じになったので廊下に出た。
あれ以来、彼女は少し変わった。大胆なところが少なくなり、少し臆病で遠慮がちな女の子になった。まだ少し何かを怖がっているようにも見える。俺も多分変わったんだろうな。こうやって人は少しずつ変わって行くのか。
図書室を出たは良いが、とくに行くところもない。二人だけで話せるところはないだろうかと、見回すと、図書室の奥に階段があり突き当たりに暗幕が下がっているのがが見えた。
「あっち、どうなってるのかな?」
「階段教室の先は行き止まりだよ。」
「俺、階段教室って入ったことない。行ってみよう。」歩きながら俺は言った。
「えーっ。それじゃあ、この前の文化祭で、川村くんの演奏は?聞かなかったの?」
「ああ、忘れてて。」
「ひどーい。川村くん、すごく上手だったよ。きっと手が痛かったはずなのに。それにすごく格好良かった。みんなキャーキャー言ってた。あの曲も弾いてたよ。」
格好良かったか。そうだろうな。ちょっと不機嫌になる自分がいる。
あれ以来、彼女は少し変わった。大胆なところが少なくなり、少し臆病で遠慮がちな女の子になった。まだ少し何かを怖がっているようにも見える。俺も多分変わったんだろうな。こうやって人は少しずつ変わって行くのか。
図書室を出たは良いが、とくに行くところもない。二人だけで話せるところはないだろうかと、見回すと、図書室の奥に階段があり突き当たりに暗幕が下がっているのがが見えた。
「あっち、どうなってるのかな?」
「階段教室の先は行き止まりだよ。」
「俺、階段教室って入ったことない。行ってみよう。」歩きながら俺は言った。
「えーっ。それじゃあ、この前の文化祭で、川村くんの演奏は?聞かなかったの?」
「ああ、忘れてて。」
「ひどーい。川村くん、すごく上手だったよ。きっと手が痛かったはずなのに。それにすごく格好良かった。みんなキャーキャー言ってた。あの曲も弾いてたよ。」
格好良かったか。そうだろうな。ちょっと不機嫌になる自分がいる。