坂道では自転車を降りて
活動後、帰り支度をしていると川村がやって来た。
「大野さんと、なんとかなったみたいだな。」
「ああ。お前には、いろいろ助けてもらったな。ありがとう。」
「そっか。これで俺も、やっと彼女のお守りから解放されるわけだな。」
2人で部室を出て階段を下りる。

「あなたに会うのが怖いのって、すごい告白だったな。」
「ぶっっ!」
「あれで自覚がないんだから、悪魔だよな。」
「お前、どこまで聞いてたんだ。」
「そうだなー。『他の男には触るな』くらいまでかな。」
「ほとんどじゃねぇか。本当、趣味悪いやつ。」
「なに、お前、俺に向かって、そんなこと言っていいのか?試験前だからって、部室に誰も来ないと思う?」
「何?」

一旦別れて上履きを靴に履き替える。扉を出るとまた合流して駐輪所へ向かう。
「俺が全部、追っ払ってやったんだぜ。」
「全部って、何人来たんだ?なんて言って追っ払った。」
俺は恐ろしくなって聞いた。
「原」
原はいい。いずれ自分で話すつもりだ。だが、あの場に原が現れたら、結果は違っていたかもしれない。

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