坂道では自転車を降りて
原因は君だなんて、口が裂けても言えない。っていうか、今『私の神井くん』って言ったような。恥ずかしいやら嬉しいやらで、頭に血が上ってくらくらする。
「それより、授業始まってるんじゃないか?」
話題を変えよう。
「え、ああ、そうだね。」
「戻らなくていいの?」
彼女はしばし考えた。教室の様子を想像しているのだろう。

「途中で入るの、やだな。」
ぽつりと言う。本気か口実か。
「でも、わからなくなるよ。」
「いい。あとでノート借りる。」
「だったら、、ここにずっといる?」
「うん♡」
これはもう、俺の彼女で間違いないよな。

「おくつろぎのところ、すみませんが。」
養護教員が入って来た。
「ちょっと見せてね。」
俺の顔色や目の色をチェックする。
「顔が紅いのは、少し興奮してるせいかな。笑。」
彼女の顔をみて鼻で笑われた。恥ずかしい。
「頭が痛かったり、吐き気がしたりはしない?」
「はい。」
「じゃあ、授業に戻って良いわ。」
「そちらのお姫様も、ちゃんと戻りなさいね。」」
「はーい。」
「ありがとうございました。」

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