坂道では自転車を降りて
「彼女がそいつを好きだってこと、前から気付いてたんだ。。。。だから、応援してやりたくて、あちこちつついて、やっとなんとかなって。でも、実際そうなっちゃうと、やっぱり、自分は、結構、辛くて。さ。。。あいつのところに行く時、俺と目が合うと、嬉しそうに笑うんだよ。ひでーよ。人の気も知らねぇで。」
そういって、長い長いため息をついて、身体をぶるっとふるわせた。

「。。。俺が、、俺がずっと守って来たつぼみだったのにって思ったら、、もう、どうしようもなくイライラして、何も手につかなくて。。ごめん。作業押してるよな。」

 川村くんが女の子の事で悩んでるなんて、ちょっと意外だった。いつも可愛い女の子と上手につきあってるような印象だったから。でも、なんとなく分かる。きっと今まで以上に本気だったんだ。
「いいよ。大丈夫。まだ間に合うし、手伝うよ。一緒にやればすぐだよ。」
「はは。。」
川村くんは力なく笑った。

 暗闇の中で、川村くんの手が私の顔を探る。震える手は額にかかる髪を搔き上げ、そのまま髪を撫で、背中へ回る。頬と頬が触れる。息づかいまでが、震えている。
「川村くんが辛いときは私やみんなに頼ってくれて良いんだよ。」
 私が困ってる時はいつもさりげなく助けてくれる。迷ってるとき凹んでるとき、傍にいてくれた。ずっと友達だって言ってくれた。私だってそのつもりだ。

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